【Gibson Custom Shop】
1980年代、まだ「カスタムショップ」の名は付いていなかったもののオーダーモデルやショーモデルを作る別ラインがあり、これが今の「Gibson Custom Shop」の前身となっています。
正式に「Gibson Custom Shop」が発足、発表されたのは1992年。
ナッシュビル工房に隣接する形で設立され、翌1993年に記念すべきレスポールのリイシューモデルが製作されます。
最初に製作されたのは1957年のゴールドトップと1959年のスタンダードでした。
現在のギブソン・カスタムショップはギブソン社最高グレードとして君臨しており、主な特徴として良質な木材の使用や、実機を3Dレーザースキャンによる計測を行い復刻するモデルの当時のトップカーブやネック形状等を再現。
木材の接着にはニカワ接着を用いる等可能な限り拘りぬいた究極のヴィンテージリイシューを製作します。
周知の通りエレキギターメーカーとして歴史の長い「Gibson」ですので、数多くの”名器”と呼ばれるギターを世に送り出しています。
そんな”名器”達を確かな知識と技術を持った職人が復刻する生産ラインが「Gibson Custom Shop」です。
【Gibson Les Paul SG】
1952年~1960年まで、今現在でも馴染み深いシングルカッタウェイにアーチがかかったボディという形状で生産されていたレスポール。
今でこそエレキギターの定番、代名詞的な存在となっておりますが、その期間のオリジナルレスポールは決してヒット商品とは言えない評価のギターでした。
同時期に流通していたフェンダーのストラトキャスターやテレキャスターは軽量で取り回しよく、ボディに深く入ったカッタウェイによりハイポジションの演奏性も抜群・・・対してギブソンのレスポールはそれらと比較しても1kg近く重く、お世辞にも取り回しが良く演奏性が良いとは言えないものでした。
そして1961年、ギブソンレスポールは大幅なフルモデルチェンジをします。
そこで生まれたのがこの「Gibson Les Paul SG」でした。
当時はあくまで「Les Paul」としての発表でしたがモデル名にもなっているギタリスト、レス・ポール氏はこの劇的な変化をした”Les Paul ”をシグネチャーモデルとは認めず、この”Les Paul”の名の付くSGは短期間で終了となります。
今でこそ”SG”と言えばエレキギターをご存知の方は想像出来るシェイプであると思われますが、やはりそれまでのレスポールのイメージを全く消し去るエッジの効いた未来的なダブルカッタウェイシェイプ。
これは1950年代のLes Paul Special DCからインスパイアされたとされています。
また、それまでのレスポールのウィークポイントとされていた重量を改善する為、ボディの厚みも極端に薄く仕上げられています。
ウッドマテリアルはそれまでのレスポールを周到しており、ボディとネックにはマホガニー、指板にはローズウッド(ハカランダ)が使用されますが、ボディトップにメイプルが貼られる事は無くソリッドのマホガニーボディが基本となります。
ピックアップも継続してスタンダードはP.A.F(ハムバッカー)を2基、カスタムは3基搭載という形でのデビューでした。
そしてこのSGデビューの目玉として挙げられるのが標準搭載される「New Gibson Vibrato(スウィング・アウェイ・プル・サイドウェイ・トレモロ)」です。
ハイポジションの演奏性が高いダブルカッタウェイボディにトレモロユニットの搭載・・・これは当時ヒットしていたフェンダーのストラトキャスターの影響が少なからず感じられます。
上記のようなスペックから作られるサウンドやトーンもそれまでのレスポールとは一線を画すものでした。
薄いソリッドのマホガニーボディにローズウッド(ハカランダ)指板にP.A.F(ハムバッカー)の組み合わせは非常にエッジが効いたトレブルが印象的です。
そんな斬新とも言えるギブソンのSGは、アンガス・ヤング、エリック・クラプトン、フランク・ザッパ、等多くの名プレイヤーに愛されるモデルとなりました。
今回入荷のモデルは「1964 SG Standard Reissue with Maestro Vibrola VOS -Ebony-」です。
Les Paul SG期最終に当たる年で、オリジナルSG(1960年代)の中では太目のネックが採用された年式です。
その分ファットなサウンドに仕上がっている印象で、SGの演奏性の高さとギブソンらしいパワフルさが兼ね備わった人気のある年代です。
ピックアップにはP.A.Fの再現として評価の高いCustombuckerを2基搭載。
プレイヤーのニュアンスを逃さない枯れたトーンで、弾いていて気持ち良い出音に仕上がっています。
また、本機はブリッジにマエストロを搭載。
ビブラートユニットとしての役割のみならずルックス面でも圧倒的な存在感を放っており、Gibsonロゴの入った大型のプレートはギブソンファン必見です。
本機の重量は3.47kg。
マエストロ搭載機の為通常のストップテイルピースのモデルと比較すると重量はございますが、その分SG特有のヘッド落ちは軽減された印象でボディバランスも素晴らしい個体。
また、ギブソン社の目指した取り回しの良さは確実に実現されており、ストレスのない抜群のモデルとなっています。
今回入荷の個体は2020年製の一本。
ヘッドトップに打痕がある以外はほとんど目立った使用感なく良好なコンディションを保っています。
その他外観としては通常演奏に伴う薄い擦り傷程度で、演奏に支障のあるようなダメージは無くプレイアビリティは申し分ございません。
ネックコンディションも概ねストレートで良好な状態、トラスロッドも大きく動かした形跡は無く左右に余裕がございますのでまだまだ長くご愛用頂けるコンディションです。
ギブソン社が”本気”で復刻した極上モデルです。
是非体感してください。
重量:3.47kg
付属品:オリジナルハードケース、認定証、保証書