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2022年夏頃に当店担当が山口県宇部市にてギター製作を行っているProvisionの工房現地に訪問し、木材選定をさせて頂きました。
今回の訪問時には特にこれといったオーダー内容は考えておらず、木材のストック次第で臨機応変にオーダー案を立ち上げようと考えておりましたが、非常に心躍る木材が多数見つけてしまったのでつい沢山オーダーをしてしまいました。
こちらのモデルを製作しようと考えた理由は、Provisionの材倉庫に鎮座していたビンテージのローズウッドの柱を発見した事に起因します。
見るからに貫録があり、黒々とした上質なローズウッドの塊だったのですが、Provisonの宮久社長にお話しをお伺いしたところ、少なくとも70年以上昔のローズウッドであると仰っておりました。
"少なくとも"と表記しているのも、木材の出どころで追える情報が70年前の材というだけで、木材の伐採等はまず間違いなく更に昔の年代に行われていると予想される事に起因しております。
ビンテージのテレキャスターと同年代並みかそれ以上の古材を使用出来るという事もあり、私はビンテージサウンドを目指したストラトの製作を目指す事に致しました。
ビンテージローズウッドと通常のローズウッドとの違いがお気になる方もいらっしゃると思われますが、私個人の所感としましても明らかに異なるサウンドに仕上がっております。
通常のローズウッドですと、サウンドが籠るとは言いませんが、やはり高音域が少し強めに削られて、甘く聴き心地の良いサウンドになる傾向がございます。
一方今回採用したビンテージローズは、ローズらしい甘さを持ちながらも音に立体感が生まれた上に煌びやかさすらをも感じさせる自然な高音域を持つサウンドを持ちます。
また、ピッキングに対する音の立ち上がりも非常に優れており、下手なハカランダを使用するよりも圧倒的に良いサウンドに仕上がっているのが大きなポイントです。
決して耳に痛い硬質な高音域ではなく非常に耳触りのよい柔らかさを持つサウンドである為、クリーンでのサウンドメイクは勿論のことですが、リードサウンドでもメロウで色気のあるサウンドを創り上げる事が可能でございます。
ボディー材には、Provisionがストックしている中でも特に軽量なアッシュ材を選定させて頂きました。
総じて軽量な材を選定致しましたが、こちらの個体は特別軽量なアッシュ材を意図して使用しております。
理由としましては、軽量なアッシュボディー特有の澄んだ鈴鳴り感を得る為でございました。
ネックには、ビンテージのテレよろしくド板目のメイプルを選定致しました。
ただド板目の材を選定するのではなく、これまで私が触って来たビンテージギターの中で特に音が良いと感じた個体の殆どに当てはまる共通点である、"1弦側か6弦側のどちらか、またはその両方に導管が濃密に詰まっている板目"という特徴を持つ材をセレクト致しました。
次にネックシェイプ等に関してですが、こちらの個体のネックシェイプはビンテージ程太くせず、Provisionの標準よりは太いというネックシェイプを採用しております。
まずはサウンド面ですが、一概にそうだという事は出来ないものの、ネックは太ければ太い程サウンドにコシが出て重心が増してくる傾向がございます。
もちろん極太ネックから生まれるサウンドは最高で、私がオーダーするギターの多くは太いネックシェイプを採用しております。
しかし今回は軽やかなサウンドを目指していた事もあり、あえてビンテージよりも少しだけ細いネックに致しました。
そういった理由から指板ラディアスを9.5"にし、フレット数を22Fに致しました。
特にラディアスはビンテージ好きもテクニカルプレイヤーも共に違和感を覚えないであろう、ギリギリの塩梅として9.5"を採用致しました。
こういった拘りの積み重ねにより誕生した、当店のカスタムオーダーモデルを是非お試し下さい。
以下メーカー説明文です。
日本国内でギターの製作といえば長野県。そういった印象を抱いている方は多いのではないでしょうか。
長野県は、FujigenやDeviser(Bacchus/Momose)を始めとして、SugiやT's Guitarsなど国内の有力どころが数多く集まっている土地ではございますが、国内のギターブランドは日本各地にございます。
このProvisionは本州の最西端にあるブランドで、山口県宇部市にて1988年より10人以下の少人数でギターの生産をし続けております。
元々Provisionは国内でも数少ない、フルオーダーの対応をしているギター工房です。(現在も受け付けております)
フルーオーダーは、ギタリストならば誰もが一度は憧れる夢の一つではありますが、ギターの製作側からしてみれば非常に厄介な案件です。
フルオーダーの特性上ギターの形状はユニークなものが多く、治具等といったギター製造に必要な型を1から作り上げる必要がございます。
しかもそれは1本の為に製作したものである為流用出来ず、その一度しか使う事がありません。
さらに、ギターの形状や木材のスペック、電装系等といった多様な要素の関係上サウンドは大きく変化します。
もしもプレイヤーが理想としているサウンドに予想通りなったとしたならばそれ以上に嬉しい事はありませんが、まずそのような事は起き得ません。
フルオーダーで理想のスペックを求める夢はあれど、プレイヤーの理想のサウンドとかけ離れたオーダー内容ならばメーカー側がアドバイスをし、その上で作りたいギターのブラッシュアップを行います。
こういった、厄介な案件が多いからこそ殆どのブランドはセミオーダーのみの対応となってしまうのですが、プレイヤー目線でプレイヤーの為にギターを製作する事を理念として掲げて来たProvisionはフルオーダーを創業開始以来受け続けてきました。
Provisonはそういった、人の夢を叶える為にギターを製造し続けた事で、職人の腕やノウハウ、経験は他ブランドの職人と比べても卓越した水準へと成長しました。
最高水準の技術を持ち、プレイヤー目線に寄り添ったアドバイスを的確に行う事が出来るProvisionだからこそ、山口県という、ギターメーカーとしては不利な立地でありながらも多くのプレイヤーに愛されてきました。
今でこそ知名度が高くなりましたが、彼らの理念や信念は今なお変わる事無く続いております。
それはフルオーダーモデルだけに限らず、セミオーダーやレギュラーラインに於いても全力を尽くし、プレイヤー目線の楽器を作り続けております。
数多の夢を叶え続けて来たProvisionが世に送り出すギターを是非一度お手に取って頂きたいです。