今回は、Trafzck Guitar Servicesのギターを福岡店へ初めて導入するという事で、当店担当の私好みの仕様で3本オーダーさせて頂きました。
下記のメーカー説明文にも記載しておりますが、トラフズクのギターはカッチカチに硬いサウンドではなく、オールドギターを彷彿とさせる様な倍音感を持つギター作りを得意としております。
その上で、鈴木氏の高い技術力と丁寧な仕事により非常に高い演奏性を持つギターに仕上がるので、今回はその両方の特徴を最大限活かしたギター製作を目指しました。
柔らかいサウンドを活かす為にフレットの素材はニッケルシルバーを採用致しましたが、指板ラディアスは7.25~10"のコンパウンドラディアスを採用し、握り込む様なローポジションでのコードプレイからハイポジションでのテクニカルプレイまで幅広いプレイが望める仕様となっております。
ブリッジこそ、サウンド重視でブラスの3連サドルを採用致しましたが、十分実戦に耐え得るピッチ感を誇ります。
サウンド的には良いアッシュメイプルらしい、瑞々しくサウンドが広がる上にアコースティカルな反応を持つ極上のトーンを誇る個体に仕上がりました。
耳に痛い感じは一切なく、ジューシーなハイミッドが前に押し出された色っぽいサウンドなので、クランチサウンドとの相性が抜群に優れております。
特にワイドなサイズのフロントシングルのサウンドは、非常に迫力がある上に甘さと色気とエッジ感を丁度良い塩梅で織り交ぜた様な、使い勝手の良いサウンドに仕上がっております。
テレのフロントは単体で使えないと言われる事が多いですが、この個体に限っては実戦的なサウンドに仕上がっております。
リアPUよりも重い、ダーティーなサウンドを作る上で最高の仕事をしてくれるので、是非クランチサウンドでお試し頂きたいです。
また、フロントとリアのハーフトーンも非常によいバランス感でミックスされております。
フロントの極太サウンドに、煌びやかさや瑞々しさが乗っかる形で生み出されます。
個人的には、クリーン時に最高の相性を誇ると感じましたが、面白いのはFenderアンプでもマーシャルアンプでもそれぞれの良さを引き出してくれるようなサウンドが出ていた点になります。
テレらしいサウンドでありながらも、テレ以上の使い勝手の良さを発揮するCo=faはテレ好きにこそお試し頂きたく逸品です。
リーズナブル且つ抜群のサウンドと演奏性を誇る当個体を是非お試し下さいませ。
以下メーカーに関する説明分でございます。
こちらのページをご覧下さっている皆様は、Trafzck Guitar Servicesをご存じでしょうか。
中々市場にも出てこない珍しいギターブランドなので、ご存じない方も多いと思われますが、こちらのビルダーである鈴木氏はギター製作界隈に於いて重鎮のポジションに就く凄腕のビルダーでございます。
Trafzck Guitar Servicesは基本的にリペア業務を中心にしながらギターの製作も並行して行っているブランドで、生産本数は極少数のみとなります。
しかしながら、その高いクオリティーとサウンドから、スタジオミュージシャンやギター通より強い支持を得ており、今後大きく躍進する事間違い無しなブランドでございます。
Trafzck Guitar Servicesの特徴としては、手掛けられる楽器の全てが鈴木氏の手で製作されている事と、ヘッド等至る所に施されたオシャレなデザインが挙げられます。
私個人として特に驚いたのは、ピックアップまで自作で製作している点でした。
しかも、ワイアリングのみを自身でするのではなく、部材の製作からワイアリングに至るまでの全ての作業をご自身が手掛けているとのお話を伺い、戦慄を覚えました。
ギターを製作するその時その時で世の中のサウンドのニーズが異なる上に、鈴木氏が考えるベストのサウンドも進化していきます。
また、ウッドスペックやプレイヤーの使用用途によりサウンドの方向性を変える必要もあるという事で、トラフズクは固定のスぺックのピックアップを決めずに、オーダーに合わせてその時のベストを尽くしたピックアップを製作しているのです。
その為、毎度ピックアップは製作する度に異なるものが搭載されているとの事でございました。
鈴木社長がここまでピックアップに拘るのは、一重にTrafzck Guitar Servicesブランドの楽器として、鈴木氏が手掛ける楽器として、プライドと自信を持って世に送り出す為に必要不可欠であったという事でした。
驚くべきはそれだけではありません。
Trafzckの楽器は木工・パーツ手配・組み込み・セットアップに至るまでの全てが、リペア業でも多忙な鈴木氏ご本人により為されているにも関わらず、ちょっと良い量産ギターばりの販売価格で製作されている点でしょう。
楽器業界に努める私が言うのも変な話ではありますが、正直安すぎると思います。
某F社のMaster Buildラインと同じか、むしろそれ以上の手間暇をかけているにも関わらず、比較的リーズナブルな金額設定が為されているので、収支が取れていないのではないかと考えております。
他に従業員がいない為、ご自身とご家族を養うだけの利益が出ればよいという事なのかもしれませんが、それにしても破格ではないでしょうか。
ハイクオリティーなワンオフのハンドメイドギターをこれほどコストパフォーマンスに優れた金額で買えるのは、楽器好きとしては非常に嬉しい限りです。
トラフズクのギターサウンドに関してでございますが、鈴木氏曰く"意図的に硬すぎるサウンドではなく柔らかさを感じさせるサウンドになる様にギター製作をしている"と伺っております。
実際に当店に入荷したトラフズクのギターはそのどれもが、倍音感溢れる心地の良いサウンドを得意とした個体に仕上がっており、アン直で演奏をしても程よく遊びのある極上のトーンを味わう事が出来るのです。
先述の通り、トラフズクの楽器には非常に優れた意匠を凝らしております。
全体的なデザインとして、丸みのある柔らかい印象を感じさせるシェイプに仕上げられておりますが、最も特徴的な部分がヘッドに仕込まれた嘴(クチバシ)ではないでしょうか。
さりげないワンポイントデザインでるにも関わらず、よくよく注目してみるとこのクチバシの部分は接着ではなく削り出しで作られているので、意外と手が込んでおります。
他人事ながら非常に面倒臭いだろうなぁなどと考えておりましたが、実際に鈴木氏も手間がかかると仰っておりました。
しかし、ご自身が作り出すギターに妥協は一切したくないという鈴木氏の熱意により、削り出しのクチバシは一貫して採用され続けております。