※期間限定で48回までショッピングクレジットによる分割手数料が無金利となります。
2022年夏頃に当店担当が山口県宇部市にてギター製作を行っているProvisionの工房現地に訪問し、木材選定をさせて頂きました。
今回の訪問時には特にこれといったオーダー内容は考えておらず、木材のストック次第で臨機応変にオーダー案を立ち上げようと考えておりましたが、非常に心躍る木材が多数見つけてしまったのでつい沢山オーダーをしてしまいました。
そんな中で見つけてしまったのが、このアッシュ材でした。
当店では今回のオーダーで沢山のストラトモデル用アルダー材を使用する事になり、ボディー材ストックの一画をほぼ全て掘り返していたのですが、その中に紛れ込んでいたのが当アッシュ材でした。
非常に軽量なアッシュ材や2本分で、その内の1本がなんと1P材であり、アッシュらしい華やかな木目をしておりました。
その為、急遽Ash材を使用したギターを3本分考案し、ずば抜けて希少な当1P材は王道中の王道たるブラックガード仕様でオーダー致しました。
ネックには、ビンテージのテレキャスよろしくド板目のメイプルを選定致しました。
ただド板目の材を選定するのではなく、これまで私が触って来たビンテージギターの中で特に音が良いと感じた個体の殆どに当てはまる共通点である、"1弦側か6弦側のどちらか、またはその両方に導管が濃密に詰まっている板目"という特徴を持つ材をセレクト致しました。
次にネックシェイプ等に関してですが、こちらの個体のネックシェイプはビンテージ程太くせず、Provisionの標準よりは太いというネックシェイプを採用しております。
まずはサウンド面ですが、一概にそうだという事は出来ないものの、ネックは太ければ太い程サウンドにコシが出て重心が増してくる傾向がございます。
もちろん極太ネックから生まれるサウンドは最高で、私がオーダーするギターの多くは太いネックシェイプを採用しております。
しかし今回は軽やかなサウンドを目指していた事もあり、あえてビンテージよりも少し細いネックに致しました。
そういった理由から指板ラディアスを9.5"にし、フレット数を22Fに致しました。
特にラディアスはビンテージ好きもテクニカルプレイヤーも共に違和感を覚えないであろう、ギリギリの塩梅として9.5"を採用致しました。
塗装にも拘りがあります。
Provisionのビンテージ系の塗装は基本的に、グロス仕上げかマットな半艶塗装に分かれます。
今回のオーダーでは、木材の鳴りを最大限活かした上でビンテージライクなサウンドに仕上げたかった為オールラッカー塗装を採用しましたが、悩んだのは塗装の質感でした。
グロスもマットな半艶も共にビンテージらしい風合いが感じられない為、Provision側と念入りに協議を行い、今回七分艶という塗装を製作頂く流れとなりました。
グロス用のクリアコートを噴かずにカラーの塗料を限界まで磨き込む事で、ビンテージの様なしっとりとした質感を持つ塗装に仕上げて頂きました。
非常に極薄且つ色っぽい印象の仕上がりとなりましたので、私としても納得の行くルックスとなりました。
こういった拘りの積み重ねにより誕生した、当店のカスタムオーダーモデルを是非お試し下さい。
以下メーカー説明文です。
日本国内でギターの製作といえば長野県。そういった印象を抱いている方は多いのではないでしょうか。
長野県は、FujigenやDeviser(Bacchus/Momose)を始めとして、SugiやT's Guitarsなど国内の有力どころが数多く集まっている土地ではございますが、国内のギターブランドは日本各地にございます。
このProvisionは本州の最西端にあるブランドで、山口県宇部市にて1988年より10人以下の少人数でギターの生産をし続けております。
元々Provisionは国内でも数少ない、フルオーダーの対応をしているギター工房です。(現在も受け付けております)
フルーオーダーは、ギタリストならば誰もが一度は憧れる夢の一つではありますが、ギターの製作側からしてみれば非常に厄介な案件です。
フルオーダーの特性上ギターの形状はユニークなものが多く、治具等といったギター製造に必要な型を1から作り上げる必要がございます。
しかもそれは1本の為に製作したものである為流用出来ず、その一度しか使う事がありません。
さらに、ギターの形状や木材のスペック、電装系等といった多様な要素の関係上サウンドは大きく変化します。
もしもプレイヤーが理想としているサウンドに予想通りなったとしたならばそれ以上に嬉しい事はありませんが、まずそのような事は起き得ません。
フルオーダーで理想のスペックを求める夢はあれど、プレイヤーの理想のサウンドとかけ離れたオーダー内容ならばメーカー側がアドバイスをし、その上で作りたいギターのブラッシュアップを行います。
こういった、厄介な案件が多いからこそ殆どのブランドはセミオーダーのみの対応となってしまうのですが、プレイヤー目線でプレイヤーの為にギターを製作する事を理念として掲げて来たProvisionはフルオーダーを創業開始以来受け続けてきました。
Provisonはそういった、人の夢を叶える為にギターを製造し続けた事で、職人の腕やノウハウ、経験は他ブランドの職人と比べても卓越した水準へと成長しました。
最高水準の技術を持ち、プレイヤー目線に寄り添ったアドバイスを的確に行う事が出来るProvisionだからこそ、山口県という、ギターメーカーとしては不利な立地でありながらも多くのプレイヤーに愛されてきました。
今でこそ知名度が高くなりましたが、彼らの理念や信念は今なお変わる事無く続いております。
それはフルオーダーモデルだけに限らず、セミオーダーやレギュラーラインに於いても全力を尽くし、プレイヤー目線の楽器を作り続けております。
数多の夢を叶え続けて来たProvisionが世に送り出すギターを是非一度お手に取って頂きたいです。